2019/09/30
『さかのぼり日本史(6)江戸 “天下泰平”の礎』
療養中でなかなか小難しい本を読めないことをもどかしく思っている。読書も健康体でなければ、集中出来ないことに気がつく。そんな中で読む本は、易しい解説書のレベルとなり、今回は『さかのぼり日本史(6)江戸 “天下泰平”の礎』(NHK出版、磯田道史著)、図書館から借りてきた、しばらくぶりの紙の本。江戸時代というと、私の中でのイメージは「天下泰平」、「鎖国」、「エコで環境にやさしい」、「文化の隆盛」などだろうか。

ところがこの本に書かれたことの一部を紹介すると、
1)江戸時代初期は徹底した武断政治。例えば農民が高い年貢に反旗を翻すと、村自体の女子どもに到るまで一村皆殺しが行われている。それまでの戦国の世の習いか、殺伐とした空気の中、皆殺しも厭わない気風があった。島原の乱(1637年)でこのピークを迎え、一揆勢のみならず、幕府軍も大打撃を受ける。こうして、領民を武力で攻めれば大きな代償を払うことになる。そして「反乱が起きないように、百姓は大切に、統治者は徳を備えなければ」という体質改善が成される。
2)江戸時代前期は高度成長。戦後期時代のように戦いで領地を増やせないので、各藩が取り組んだのが「新田開発」、江戸時代初期と比べておよそ100年の間に、田畑面積は1.5倍、人口は2倍(3千万人)へ。この時期は「環境破壊の時代」とも言える。ところがここで宝永地震(1707年、東日本大震災より大きい)が起き、特に干拓地(新田)が大津波で甚大な被害が生じる。これで新田開発のスピードが止まり、人口減社会へ。(量から質への転換、何か平成以降の現代日本を思い起こす)
3)浅間山噴火(1783年)、この後に追い打ちをかけるような冷害(天明の飢饉)が東北地方を襲う。それまでの政治は、農民から年貢を取りっぱなしで何のバックもなかったが(軍事政権)、この噴火、飢饉で一揆が各所で起き、餓死者も半端でなくでて、「民を手当しないことには国を維持できない」ことに気づく。(福祉国家へ)
まだまだ書きたいことはあるのだが、抱いていた江戸時代のイメージとは、大きな隔たりがあることに気づく。これ以上書くと読みにくいので、この辺りでやめておく。
「読書は好奇心から生じ」(好奇心がなければ、本を読むモチベーションは上がらない)、「読書から学ぶことは多い」ということは真理だろう。