リタイヤ間際で趣味がない

　今月末、私より年下で定年前ではあるが希望退職が引き金でリタイヤする人と話した。『これからどうされるのですか？』と私が尋ねると、『母の面倒を見ます』と答える。彼は生涯未婚の独身で足の悪い母親と二人暮らし、それはわかるが24時間ずっと面倒をみるではあるまいと、再度同じことを尋ねる。彼はボソボソと『実は趣味らしきものがない』と困った表情で呟く。

　買い物くらいはしていたようだが、家事はこれまで母親任せ。あとは公営のジムに通って筋トレをすることと、パチンコがどうやらこれまでの余暇時間の全てだったようだ。時間が有り余ってパチンコに通えばあっという間に退職金などなくなってしまうだろう。

　趣味というのは自由な時間ができたからといって、すぐ見つかるものではないと思っている。自分自身の例を取り上げれば、ゴルフだって、写真だって、リタイヤ前の今現在も時間をかけ、お金もかけて、やっとなんとか楽しめるところまでなっている。急に明日から、新たな趣味を作れというのはとんでもなく無理がある。彼との送別会は昨夜終えたが、『サンデー毎日』になる来週から一体どういう生活を送るのだろうか。