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イスラームの論理と倫理

  先日観た映画の影響もあって、イスラムとは何か知りたくなり手にとった『イスラームの論理と倫理』 (中田考、 飯山陽)

  普通の日本人の大人でイスラムについて3分間解説しろと言われたら、多分出来ない人が大部分ではないか。かたや男性・イスラーム法学者にしてイスラム教徒。かたや女性・イスラム思想研究者にして非イスラム教徒。ともにイスラームを専門としつつも、立場を異にする二者がテーマ毎に「書簡による対話」と銘打っているが、端で読んでいるとお互いを殴り合っているようにしか見えない、全く噛み合っていない不思議な本。この分野での考え方の極右と極左のような交わることのない議論を延々と展開する。
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  昨年読んだ『十字軍物語』シリーズ(新潮文庫、塩野七生著)でキリスト教徒とイスラム教徒の約200年に渡る戦いを読んだが、門外漢から見ればイスラム研究という同じ土俵に立つ二人でもこうなるらしい。だから、中東の複雑さ、ヨーロッパの移民問題など簡単に決着するわけがないのはこういうことかと・・・

  素人には理解しがたいイスラムを議論しだすとこうなるのかと、ちょっと後味の悪い二人の論戦(にもなっていない?)でした。